『夏休み、音楽がつないだご縁と想い』

夏休みもいよいよ中盤。
つなぐハウスは、毎日エアコン全開ですが…子どもたちの笑い声と元気で、部屋の空気はむしろ熱気いっぱいです。

日々届く食品やお菓子、おもちゃのご寄贈。
その一つひとつが、この場所を支えてくれています。
居場所に集う子どもたちのために、応援してくださる皆さまへ心から感謝申し上げます。

「JAZZ×ジブリ」のご招待

去る7月24日、公益財団法人名古屋市文化振興事業団・昭和文化小劇場様から、「JAZZの森コンサート」へのご招待をいただきました。
ジブリの名曲とジャズが融合した、子どもも一緒に楽しめる特別な舞台。

つなぐハウスや「みんなのれいぞうこ」LINEに登録しているご家庭から、約80名が無料で招待され、音楽の森の中で素敵な時間を過ごしました。

素晴らしい機会を、ありがとうございました。

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開催直前にかかってきた一本の電話

このコンサートの数日前。
法人の電話に、1年半ぶりにあるお母さんから連絡が入りました。
「安藤さん、実は相談があって…」

彼女は難病を抱え、予後も思わしくなく、生活はヤングケアラーの娘さんと二人三脚。
訪問医療や行政、さまざまな機関の支援を受けながら暮らしていましたが、身体は自由が利かず、日常は厳しさを増していました。

それでもお母さんは言いました。
「子どもが、自分の意志を持って生きられる土台を残したい」
その想いに触れたとき、私たちはふと思いました。
――未来も大事。でも、“今”を一緒につくることも大事なのではないか。

「夏休み、思い出をひとつ作りませんか? 車いすはこちらで準備しますから」
そう提案すると、お母さんは笑顔で。
「久しぶりの外出です…行きたい!娘もきっと喜びます!」

とおしゃっていました。

館長の温かいひと言

ただ、音楽コンサートは本来、途中の入退席が難しいもの。
体調次第では30分も居られないかもしれない。
紫外線に当たれないため、日が沈んでからの移動になります。
そんな状況を、思い切って森川館長に相談しました。

すると――
「いつでも出入りしていただいて構いませんよ。車いす席もご用意します。いい思い出を作ってあげてください」

その言葉に、私たち理事一同、胸がとても熱くなりました。
理念を理解し、社会からこぼれそうなニーズに手を差し伸べてくださるからこそ実現できた特別対応でした。

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当日、叶わなかった参加

しかし当日。お母さんの体調は急変し、外出は叶いませんでした。
娘さんもきっと、不安になったのでしょう。
「やっぱり行けないです。ごめんなさい」と、ギリギリにLINEがきました。

けれど――それでもいいのです。
私たちは“おせっかいな小さな疑似家族”として、時間外でもイレギュラーでも、こうして寄り添うことができます。

『本当はママと行きたかった』
『今度は行こうね』
そんな言葉が、二人の間に小さな未来への光をともすなら、それだけで意味があると信じています。


森川館長、そして昭和文化小劇場の皆さま。
子どもたちだけでなく、その家族の人生にまで温かい波紋を広げてくださったご厚意に、心より感謝申し上げます。

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